暖冬の予感さえもたらしていた空気も、まるでそれが嘘だったかのように冷たいものへと変わった。
耳が痛くなるような寒さだが、あぁ、この寒さこそ、年の瀬、そしてその代名詞たる有馬を感じさせるものに他ならない。
過ぎた今年を思い返しつ、来たる年への希望も胸に。
いざ総決算。一人暮らしが迎えるは、第68回・有馬記念。
舞台:中山芝2500m
競馬ラボさんからリンクを引っ張ってきた。
今更ながらだが、中山2500は
・スタートすぐにコーナリングしながら平坦
・少し下ってから急坂→また下り
・もういちど平坦コーナー
・最後の直線は急坂(1.5Fくらい)
と、かなり起伏に富んだコースになっている。
近年は馬場の高速化が顕著になり、上位馬で上がり33秒台も珍しい事ではなくなってきたが、有馬記念は早くて35秒前半、だいたい36秒前後というタフなレース。
つまり、王道路線で速い上がりに対応しきれなかったが、パワー自体はあって、上がりがかかる方がいいよ、という馬に向く舞台とも言える。
また、よく菊花賞組は買いという文句を見かけるのだが、これも理屈を考えてみれば、
2度の坂越えがある+機動戦になりやすい
というように、菊花賞の適性に類似したところが多く、また、瞬発力より持久力の勝負になりやすいことから菊花賞組が好走しやすい、と考えると合点がいく。
また、コーナーの多さも長距離実績とリンクする要因になっているように思う。
大箱の非根幹、たとえば東京2500や京都2200はコーナーが4つで、さらに2つ増えるこことはその点で大きな差異がある。
2500の設定は東京にも目黒記念やアルゼンチン共和国杯があるが、あちらは大箱のためコーナーが4つしかない。直線も525mと1.5倍以上あるため、単純に距離だけでここの適性を測るのは良策とは言えないだろう。
さて、有馬記念の平均的な流れを見ていくわけだが、基本的には
・道中もそれなりのペース
・いったん緩んで、再び締まる
と、基本的に前出のコース高低に沿ったペースとなる。
とはいえ、コーナーがこれだけ多い中でこのペースだから、コーナリングの巧拙は重要なファクターとなる。それは実際の戦績から見る巧拙はもとより、血統的な潜在能力も推し量らねばならないだろう。
血統
Sadler’s Wellsであったり、Nureyevであったり、Robertoであったり、そういった所謂欧州系の血を持つ馬が良く来るように、かなり力を要するタフな設定であるといえよう。
とはいえ、パワー一辺倒でどうにかなるかと言うとそんなことはなく、基本はサンデー+何か、という形になる。
学生時代にどっかで得た知識なのだが、有馬の舞台はコーナーを6回も回るため、ある程度の機動力を備えた血統を押さえておきたい。要はノーザンテーストや欧州血統である。
近5年の有馬記念上位入着馬の血統を見てみると
2022
1着:イクイノックス(1人気)→サンデー(3代父)+ノーザンテースト(5代父)
2着:ボルドグフーシュ(6人気)→サンデー(3代父)+ノーザンテースト(4代父)
3着:ジェラルディーナ(3人気)→サンデー(3×4)+ノーザンテースト(5代父)
2021
1着:エフフォーリア(1人気)→サンデー3×4+RobertoとSadler's Wells持ち
2着:ディープボンド(5人気)→サンデー(3代父)+Nijinsky(5代父)
3着:クロノジェネシス(2人気)→サンデー(3代父)+Nureyev
2020
1着:クロノジェネシス(1人気)
2着:サラキア(11人気)→サンデー(祖父)+Nijinsky(4代父)
3着:フィエールマン(2人気)→サンデー(祖父)+Nijinsky(4代父)
2019
1着:リスグラシュー(2人気)→サンデー(祖父)+Sadler’s Wells(4代父)
2着:サートゥルナーリア(3人気)→サンデー(3代父)+Sadler's Wells(3代父)+Nijinsky(5代父)
3着:ワールドプレミア(4人気)→サンデー(祖父)のみ
2018(稍重)
1着:ブラストワンピース(3人気)→サンデー(4代父)+Nureyev(5代父)
2着:レイデオロ(1人気)→サンデー無し。Nureyev(4代父)、Roberto(4代父)持ち。
3着:シュヴァルグラン(9人気)→サンデー(祖父)+Nureyev(3代父)
と、ほとんどの馬が条件を満たしている。
モーリスとか増えてきた現状を鑑みると、これを満たす馬は結構多いだろうから、これで取捨というより、補強の材料で使うイメージ。
機動力が活きる流れ=馬群が縦長になるならより重視したい要素だろう。
予想
今年の牡馬クラシックは、同じ時代を駆け抜けた3頭の血を引く馬達が分かち合った。
ドゥラメンテはその鮮烈な末脚と血統で、
キタサンブラックは当時の日本レコードの獲得賞金額を記録し、まさしく国民的スターホースとして愛されるに至ったその走りで、
それぞれ種牡馬となるに至ったのは記憶に新しい。
2頭は産駒にも注目が集まり、そして事実、実績を残した。
ドゥラメンテはその短い種牡馬生活の中から、タイトルホルダー、スターズオンアース、リバティアイランド、ドゥラエレーデなど、8頭のG1馬を出し、キタサンブラックは先日ターフを去ったイクイノックス、そして皐月賞を強烈な末脚で勝ったソールオリエンスを出した。
サトノクラウンを振り返る。
クラウン自身、クラシックにおいての最高着はダービーの3着と、種牡馬となるには物足りない成績であったことは否めないし、獲得したG1タイトルも香港ヴァーズと宝塚記念の二つで、日本競馬において、種牡馬価値という点で大きく扱われるタイトルはついに獲れなかった。
馬券としても人気せず、生涯で1番人気に推されたのは皐月賞(6着)のただ一度のみである。
ただ、当然ながら、競馬は人気が全てではない。
ある競馬を名勝負たらしめるのは、ただ1頭先頭で駆け抜け続けた馬のみではなく、ある馬を名馬たらしめるのは、その白星と栄誉のみではない。光の影、主役の影の名脇役が、感動と興奮をより大きなものにし、彩り、我々の心にそれを刻み込む。
影の中から輝いたその冠は、ライバル2頭も成し得ていない、産駒のダービー制覇を成した。
クラシックを皆勤し、皐月から順に2着,1着,2着とオール連対の輝かしい成績を残した。
平均打点はそう高くないかもしれないが、当たれば強いのは、思い返せば父の魅力でもあった。産駒の平均成績では及ばないかもしれないが、クラウンの最高傑作は、今年の有馬の頂点にも届く強さがある。
そう、次はクラウンとその血を継ぐ馬達の番だ。
いざ古馬G1制覇へ。グランプリの頂へ。
◎タスティエーラ
◎タスティエーラ
▲スルーセブンシーズ
△ウインマリリン、スターズオンアース、タイトルホルダー、スルーセブンシーズ、ソールオリエンス、ヒートオンビート
本命は◎タスティエーラ
前走は予定外の直行だった分、今回は上積みもあるはず。
前走は距離とその調整に敗因を求めたい。むしろ距離も長すぎた上に調整も満足ではない中であれだけの内容を見せられたと前向きに捉える。
ダービーは大逃げを前に置いた第二先行集団から運び、直線加速するとそのまま押し切り。第二先行とはいえ中盤スローからの加速ラップで押し切った内容は評価できる。下した相手からは2頭の古馬重賞ウィナーが出ていて、レベルも高い。
今回もタイトルホルダーないしはアイアンバローズの逃げと、それを追いかけない集団の競馬と見ているから、ダービーのような競馬ができたということは今回大きな要素と考えている。実績もそうだが、母パルティトゥーラは血統的にもコーナー機動力はあると思う。
○ライラックは小回り巧者。
前走は前が止まらず。前走は上位着で1人だけ4角二桁順位から追い込んだ4着で力はある。ステゴの有馬は言うまでもなくで、これまでの走りを見ても有馬の舞台は合う。パワー寄りになる馬場なら相対的に切れるタイプで、逆に不良馬場で生きるタイプの脚ではないと思っているから、日経賞はむしろ、適性からは外れる馬場だが地力で上に来たと評価したい。乾いていれば前走のようによく伸びる。
内にアイアンバローズ、ディープボンドがいるなら好位に付けることも叶うはず。稽古の動きも好調そのもの。コーナーでの機動力活かして上位へ。自信の2番手。
三番手は▲スルーセブンシーズ
スロー逃げの後方だと今回は流石に苦しいが、イクイノックスと互角の立ち回りを演じたのは最後方から3C付近で加速、馬群を捌いての差し。コーナリングのうまさと捌ける脚がある分、今回も当然目はある。
枠は確かに遠いが、腹を括って後方からなら枠の不利は最小限になるはずだ。
仕上がりは十二分。覚醒したステイゴールドに逆らってはいけないだろう。
△は広めだが、引退戦もコーナー巧く血統魅力のウインマリリン、ヒートオンビートに、鞍上不気味なスターズオンアース、末脚だけなら一級品でハマれば怖いソールオリエンス、緩急の急の部分が弱くなった感はあるが、それでも惰性での残り目もなくはなさそうな引退戦タイトルホルダーと打つ。
買い目は➅層構え。
①タスティエーラの単勝
②ライラックの単複
③本命対抗のワイド
④本命対抗の馬連
⑤本命対抗の三連複
➅本命→対抗⇔印の三連単
ライラックが絡めばそれなりにつくはず。
自信あるんだけどな……
合計3万の大勝負に出る予定。